芸北の自然(虫多め)/ Nature in Geihoku (more insects)
初夏の芸北は気持ちがよい。鳥を探すのが第一の目的だったのだが、イワツバメ以外はこれといった成果もなく、今回は代わりに虫成分多め。
橋の下に巣があると思われ、次々と戻っては飛び出してくるイワツバメたち。子育て中なんだろう。大まかな通り道は大体わかるが、それでもやっぱりすばしっこい。
真っ白の翅に灰色と褐色の紋様が印象的なガの仲間。画像検索などを頼りに調べると全体の雰囲気から「ウンモンオオシロヒメシャク」のように思われるが、ウンモンオオシロヒメシャクは上翅に黒斑が出ており、本種のような大きめの褐色斑が出ている例は見つけられなかった。近縁の別種かもしれないし、単なる模様の個体変異かもしれないし、昆虫素人にはこれ以上判断できない。
モリアオガエルの卵塊(泡巣)が木からぶら下がっている。モリアオガエル自体はこのあたりでまだ出会ったことがないが、これからはカエルも探してみたい。
車のボンネットの上にいたアカウシアブ。どっしりと構えた大きなアブで、マクロレンズで撮影していても逃げなかった。吸血性で、噛まれると強い痛みや腫れなどを引き起こす。野外活動の原則通り、露出の少ない服装を心掛けたいものだ。この姿はスズメバチに擬態しているといわれる。
ちなみに私はまだなーんにも山を警戒していなかったころ、何となく様子見に入ったごく普通の登山道でいきなりオオスズメバチに襲われて、ひどい目にあったことがある。後で登山道の様子をよく見ると、地面に巣があった。オオスズメバチが登山道を横切るようにウロチョロとしていて、更によく周囲を観察すると、その巣を迂回するような道が脇のヤブにできていた。いつも来ている登山者はその迂回路を通っていたらしいが、それなら目印くらい付けておいてくれよと恨み節であった。この時はオオスズメバチに30mくらい追いかけられて頭を刺され、ひどい腫れと頭痛に苦しんだ。それ以来、帽子を絶対被ろうと思った。今でも後ろで太い羽音がするとビクッとなる。
アサヒナカワトンボ。メタリックな体と透き通った茶色の翅が美しい。手持ちの図鑑ではニシカワトンボとされているが、現在の学術的にはアサヒナカワトンボが正式和名のようである。ただ、ニシカワトンボも広く通用しており、ネット上でも単にニシカワトンボと紹介しているものも多い。雄には透明翅と茶色翅の二つのタイプがある。
クモが草葉の上で大事そうに卵を抱えている。この卵のように見えるものは卵嚢といい、産卵した大量の卵を糸でぐるぐる巻きにしたもの。細長い姿からキシダグモの仲間のような気がするが、クモ類は手元に図鑑がなく、ネットでも野鳥と比べると圧倒的に情報が少ないので判断困難。
見た目で敬遠される生物はそもそも認知されにくいので、生息域の破壊などが原因で人知れず姿を消していくことも多いと言われる。ぱっと見の美しさにとらわれがちだが、先入観を持たず広く目を向けることを心掛けたいものである。
ずいぶんとカメラを構えた人たちが多いと思っていたら、皆さんこのヒメシジミを目当てに来ていたらしい。まさにぱっと見の美しさの代表格である。
実際に被写体として魅力的であることは否定できないので、素直にたくさん撮りました。
美しさによって生物をランク付けすべきとは思わないが、斜に構える必要もない。
迷彩ネットに隠れて近づいてみたら、余裕で近接撮影できてびっくり。虫も人間のシルエットを認識して逃げる判断をしているのだろうか? ちなみに、奥が雌、手前が雄。