ノスリ、クロツラヘラサギなど / Common Buzzard, Black-faced Spoonbill, etc.
2021年最後は福岡から。福岡県のちょうどヘソのあたりに筑紫平野がある。筑紫平野自体は佐賀県の有明海側まで広がっており、西日本でも有数の平野地帯である。
なんでこんな話を冒頭にするかというと、これだけ平野が広くかつ農業が盛んであると、穀物や虫が豊富で、野鳥にとっても住みやすいのじゃないかと思うからだ。実感として、普段フィールドにしている山口県と比べて野鳥に出会いやすい気がする。もちろん、山林深くに住む野鳥に関しては当てはまらないのかもしれないけど。
なお今回もいつものように、Nikon D500 + AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VRで撮影。
キリっとした写りのノスリ。逃げなかったので、うまく枝被りしない場所まで回り込むことができた。
汚黄色の虹彩から、幼鳥のようだ。他の写真を見てもみんな瞳と虹彩がはっきり区別できる。その他の幼鳥の特徴として、ろう膜(上嘴基部の肉質部分)が灰色や水色のはずだが、どれも微妙に影になっていて色はよくわからない。
ノートリでよい具合に収まった。この個体は尾羽などがボロボロで、カラスにでも追い回されているのかも。
獲物を捕らえるシーンではないけど、鋭い爪の様子がよく見えるポーズ。
幼鳥らしく警戒心が少なくて、急に近くのガードレール下からふわりと現れた。正面の表情がけっこうかわいい。♀のほうが体が大きく、頭でっかちに見えるのが♂だそうで、これは♂のように見える。
お腹が縦斑のハヤブサ若鳥もいた。この辺りは平野で、崖はもちろん、あまり高所は見当たらないが、鉄塔にでも住んでいるのだろうか?
ヘラサギとクロツラヘラサギの混群。写真に撮った時はよくわからなかったが、結構混ざっているものらしい。
上写真の右側のグループがヘラサギっぽい。左下個体は不明。
同じく、左側のグループがクロツラのようだ。少なくとも6羽、顔が見える。
やっぱり、同種で固まっているほうが居心地がいいのだろう。
日本野鳥の会のページによると、クロツラヘラサギは
東アジアにのみ生息する世界的な絶滅危惧種で、IUCNのレッドリストでは絶滅危惧種(Endangered)、環境省のレッドデータブックでは絶滅 危惧ⅠB類に指定
とされている。世界でも5000羽ほどしか生息しておらず、日本で500羽ほど越冬しているらしい。
この「絶滅危惧」については耳にする機会が結構あるものの、その内容を理解しているとは言い難かったので、少し調べてみた。
IUCNは「International Union for Conservation of Nature」の略称で、日本語では「国際自然保護連合」と呼ばれている、世界最大の自然保護に関するネットワークである。
このIUCNの専門家グループが調査し危機の度合いに応じて分類したものが「レッドリスト」で、絶滅の危険が高い3つのカテゴリー「CR:近絶滅種」「EN:絶滅危惧種」「VU:危急種」には38,543種(2021年10月時点)が登録されている。なおCR、EN、VUが環境省の絶滅危惧IA、IB、II類に対応している。
クロツラヘラサギは危機の段階でいくと、上から2番目(CRの上はもう「野生絶滅」)ということになる。一個人としては特別なことはできないかもしれないが、こうした実態について地道に認知を広げる一助になればと思う。
しきりに枝を動かしていたが、寝床を整えているのだろうか。