道東 1日目 / Eastern Hokkaido Day 1

旅行計画

12月上旬に少しまとまった休みが取れるタイミングがあったので、二ヶ月ほど前に急遽、北海道撮影旅行を計画した。冬の北海道にはまだ行ったことがない。

野生動物目当てで行くならばやはり道東に行きたい。釧路を出発し海沿いを霧多布、根室方面、野付半島を経由して羅臼まで向かい、内陸に入って弟子屈から鶴居村でツルを見つつ戻ってくる三泊四日のコースにしてみた。

地図 map

この時期はまだまだ冬の始まりで、寒さは1〜2月のピークには及ばない。しかし12月は日照時間が短い。日の出が6時半ごろ、日の入りが15時45分ごろとなっており、16時にはほとんど真っ暗になってしまう。よって撮影旅行だとのんびり朝食、昼食を食べている時間はない。早起きしてさっさと出発しましょう。

灯台 lighthouse
15時16分、灯台が点灯している(曇りなので余計に暗い)

12月でも道東なら最低気温マイナス10℃あたりまで下がることがある。西日本在住者は普段経験しない環境である。スキー場のつもりで準備しておけば良かろうということで、以下のようになった。

  • 頭部
    • バラクラバ(モンベル スーパーメリノウール バラクラバ)
    • ウール100%ニット帽
    • ダウンジャケットのフード
  • 上半身
    • 極厚ヒートテック長袖
    • 厚手タイツ
    • フリース
    • ダウンジャケット
  • 下半身
    • ヒートテックタイツ
    • アウトドアパンツ
    • スキー用オーバーパンツ
    • 薄手インナー手袋
    • HAKUBA カメラマングローブ GW-PRO RED
    • ウールインナー付き革ブーツ
    • ジーベック 85715 EVA軽量防寒ショート丈長靴
  • その他
    • 使い捨てカイロ
    • 足用使い捨てカイロ(オンパックス 足ぽかシート 中敷用)
    • モバイルバッテリー20000mA + USB電気毛布

先に感想を書いておくと、最も重宝したのはバラクラバ(特殊部隊風の目出し帽的なモノ)だった。ネックウォーマーでは防御しにくい耳や鼻、頬の周辺をしっかりカバーできるため、風の強いシーンでかなりの効果がある。またハクバのGW-PROは寒冷地仕様を謳うだけあり、今回の気温(〜マイナス12℃)の範囲では十分な仕事をしてくれた。ただ、指先を出すとちぎれるような痛さに襲われる。これは薄手のインナー手袋をするだけでだいぶマシになったが、操作性はやや落ちてしまう。グローブのままよりは断然良いので仕方がないか。

帽子や手袋 caps and gloves

そのほか、諸般の事情によりビジネス系のウールインナー付きブーツを使用した。実はこれが優れもので、足用カイロとの併用でマイナス12℃の音羽橋に2時間立っていても全く問題なかった。おかげでわざわざ購入したジーベックの耐寒ポテンシャルはわからないままになってしまった。また立ちっぱなしのシーンではオーバーパンツが大変安心感がある。ただし歩くと暑い。

大抵の時間はマイナス4℃〜プラス数℃の範囲だったので、特に問題なし。もっと過酷な状況を想定して、大容量モバイルバッテリーやUSBで動作する電気毛布、レンズヒーターも買い揃えたが、今回はここまでは不要だった(電気毛布は家でも使えるからね…)。

機材は、D500、D750に500mm F5.6、x1.4テレコン、24-70mm F2.8、85mm F1.4、16-35mm F4、70-300mm F5.6-6.3で、予備バッテリー3個。

釧路〜霧多布

靴の説明で諸般の事情と書いたのは、東京出張から帰らずにそのまま釧路へ飛んだからである。羽田空港から第一便で釧路に着けば、半日は動くことができる。空港発のレンタカーは確保できなかったので、連絡バスで釧路駅からのスタートだ。ちなみに服や三脚などのかさばる荷物は段ボールで宿に別送した。

県道123号線を霧多布方面に向かう途中、気になったあやめヶ原。花の季節はさぞ綺麗なんだろう。

あやめヶ原入口のゲート a gate of the entrance of Ayamegahara
まずは宿に向かいたいが、寄り道もしたい。早速ヒグマエリアとの注意書きがあり北海道を実感。
光のさす海沿いの集落 A village by the sea where the light shines
海沿いの集落を見ながら展望所に向かう。
あやめヶ原からの海の景色 Sea view from Ayamegahara
雲が増えてきた。天気はこれから下り坂だ。
オオワシ steller's sea eagle
早速オオワシを発見。山口での幼鳥に続いて成鳥とご対面。
霧多布湿原のパノラマ Panorama of Kiritappu Marsh
本日の目的地、霧多布の湿原。

この日お世話になった湯沸岬(霧多布岬)の「えとぴりか村」。庭木にはハギマシコの群れが出迎えてくれたが、まずは荷物を回収して装備を整えないといけない。

ここ霧多布ではラッコと半島の野鳥を観察したい。ご主人は長年、霧多布でラッコの定点観測をされている(『ダーウィンが来た!』の2021年4月ラッコ回もこの霧多布での観察が元になっていたのだが、恥ずかしながらしばらく話すまで知床での話だと勘違いしていた)。またバーダーであり、周辺や道東の野鳥を熟知されているので、探索にあたり大変有意義な話を頂いた。朝食も美味で、次来ることがあればまた泊まりたい。

えとぴりか村 Etopirika village
室内からテラスを挟んで霧多布の野鳥を定点観察できる。うらやましい。
湯沸岬(霧多布岬)の先端と灯台 The tip of Cape Toufutsu (Cape Kiritappu) and the lighthouse
岬には灯台がある。
垂れ込める雨雲と草原の中の小屋 Hut in the meadow with hanging rain clouds
風が強く、荒れ模様の天気を予感させる。
背景の青空と迫ってくる雨雲を見上げる Looking up at the blue sky in the background and the looming rain clouds
滑空するオジロワシ A white-tailed eagle gliding
オオセグロカモメに混じって、オジロワシが滑空してきた。

初見初撮りのオジロワシに大興奮だったが、宿の主人によると近年は大きく数を増やしているとのこと。北海道では留鳥なので夏にも見ることができ、ウミネコやオオセグロカモメの営巣地を集団で襲うこともあるとか。

雨雲の垂れ込める湯沸岬からの海の眺め View of the sea from Cape Toufutsu with rain clouds hanging in the sky
暗くなり、雨もちらついてきた。
夕闇の湯沸岬と灯台 Cape Toufutsu and the lighthouse in the evening twilight
あっという間に日没。強風と雨で撮影どころではなくなってきたので今日は撤収だ。
ハギマシコ Asian Rosy Finch
灯台の周辺にもハギマシコがちらほらと出現してくれた。

事前に調べた情報では、道東には11月下旬ごろから冬鳥が飛来し12月は野鳥観察には意外な穴場シーズンだという説明も見受けられた。しかし、えとぴりか村の主人の話ではかなり飛来が遅く、本格的に観察できるのは12月後半か1月からだろうということだった。一つには今年の11月が直前までかなり暖かかったことも影響していそう。ハギマシコ以外の小鳥類やコミミズクなどは見られそうになく、その点は残念な滑り出しとなった。

悪天候でなければ星景でも撮るつもりだったのだが、それも叶わないので近所の「霧多布温泉ゆうゆ」へ。何せ夜が長いのでのんびりするしかない。

大盛りの天丼 Large bowl of tendon
勢いで頼んだメガ盛り天丼。見た目のインパクトはともかく肝心の天麩羅が残念な出来であった。

観察記録
オオセグロカモメ
オオワシ
オジロワシ
セグロカモメ
ハシボソガラス
ヒメウ

二日目霧多布へ続く

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