今日、宿泊するのは山小屋「龍宮小屋」だ。長沢新道を下って尾瀬ヶ原に入ると、すぐ目の前が竜宮十字路で、右に折れると龍宮小屋がある。11時半ごろだが、もうチェックインは可能ということで、とりあえず支払いだけ済ませる。
龍宮小屋の昼食はごく簡単なものだけという感じだったので、見晴まで行くことにした。
見晴に到着。一見して人気なのが「尾瀬小屋」で、レビューの通り、オシャレな感じのメニューがボードいっぱいに書き込まれていた。ただ、わざわざ尾瀬まで来て食べたいかというとピンとこない。向かいの「ひげくま喫茶」を見ると、こちらの方がオーソドックスな感じである。お腹はペコペコなので、ガツンと掻き込みたくてカレー大盛り(+100円)を注文。
日が傾いてきたところで改めて外へ繰り出す。すでに体のあちこちが痛い。
龍宮小屋を挟んで、至仏山側の竜宮十字路付近と、燧ヶ岳側の両方で夕暮れの様子を見ながらポイントを探る。
日が沈み、山小屋へ引き返す。
もう一つ尾瀬で撮りたかったのが星空。23時以降なら、月が沈んでいる。星空をシミュレートし、山小屋を出て竜宮十字路あたりから南面を狙いたいと思った。
そう思って23時に時計の振動アラームをセットして早々に就寝するも、結局起きられず、2時に目が覚めた。体中が痛いが、我慢して機材を整え山小屋を出る。
もちろん、ここが「熊」エリアなのは知っている。それでも山小屋の前、ほんの数十メートルの木道に行くだけである。軽く音楽を鳴らしながら、ヘッドランプを付けて恐る恐る木道を進んでいると、その数十メートル前方で「ガサリ」と音がした。何か大きな動物が木道を横切り、こちらを見る目がランプに照らされて光った。まずい。
すぐに山小屋の前まで引き返し、様子を伺う。一目散に飛び去るような動きではなく、警戒するようにこちらと距離を保って湿原を移動している。時々こちらを見る目が光る。これは鹿などでなく熊だろうと思った。
こうなると星空どころではない。しかし、空を見ると満天の星空。これを撮らずに引っ込むのは悔しい。仕方がないので、構図には不満があるが、山小屋前での撮影を試みた。もちろんすぐにでも小屋に飛び込めるように警戒しながら。
その3へ続く